窓に露わな指紋

前に無くしてしまった本を古本屋の特価棚で見つけた。ゴシックのアンソロジーで特に女子高生のゾンビが登場する話しが良かったと記憶している。もう一度、読みたかったから嬉しい。

本を買って、店を出ると夕方の帰宅ラッシュで街は忙しい。僕も忙しい1人になって満員電車に飛び乗った。背負ってたリュックでスペースを作って本を開く。目当ての話しを探したけれど見当たらない。何度もページをめくって探すけれど見当たらない。僕の記憶違いだったみたいだなぁっと肩を落として、本から顔を上げると電車の窓に結露で露わになった指紋がベタベタとついていた。