「あの島にも名前がついているのかな?」

波打ち際に立って水平をみる。凪でもなければ高波でもない海の水平。船一隻さえ浮いていない。この先に何があるのかを知らなければ好奇心が持てるかもしれないけど、僕はこの先の島の名前を知っている。

足底の砂が引き波に攫われていく。足趾が浮いて居心地が悪い。あと何回の引き波で足場がなくなるのだろう。