2021-06-01から1ヶ月間の記事一覧

ありふれたこと

時と共に色はあせる。どんな名画でも色彩は落ちていく。それは、記憶も例外ではない。だから色あせた記憶を着色する。忘れてしまわないように。出来るだけ近い色で。 だけど、同じ色で着色することはできない。きっと今、僕が大切にしている記憶は色を何層に…

死なうは一定、しのび草には何をしよぞ、一定かたり遺すよの

先がないことを知っていながら言われるままに生きてきた。やりたいことなんて許してもらえなくて考えることをやめてしまった。そのせいか、今では何がやりたいのか何にもわからない。何かやりたいことを見つけたとしても先がないとわかっているから見つけた…

ある種の悲惨な現実はプラダクツを持って語る

とある反出生主義者Aの偏見 A「人間は誰しも生まれながらに平等であるとは限らない。それに生まれてきた人物に干渉することはできないからね。」 B:「干渉できないってどういうこと?」 A:「例えばある物語を作っているとしたら主人公の未来を自由に操ること…

差異のないものの存在意味があるのか。

4日後に首を吊ろうと考えていたのに感情が平板化しているせいか世界が綺麗に見えるでもなく、汚れて見えることもない。ただ、苦しさだけが存在している。死が4日ずれることに何の意味があるだろうか。 須原一秀は65歳で自死を選んだ。絶妙な年齢だ。65歳以降…

死に損ないの夏

8月末の昼下がり。妙に肌寒い日だった。夏が死んでいくことを想像しながら僕は昆虫ゼリーを棚に並べていた。半分程.並べ終わった頃にお客さんに声をかけられた。白いTシャツに薄いインディゴのジーンズ、水色のビーチサンダルを履く大学生ぐらいの女性だった…