解剖学教室でステンレスの台に置かれた上腕や足部、小脳や脊髄を見て、まるで人形の部品のように感じたことを思い出した。

今、妙に座席の狭い電車に揺られながら、私は人間と人形の違いは何処にあるのだろうと疑問を持った。

死んでいなければバラバラにできないという点で大きな差があるのかもしれない。運搬する上でバラバラに出来ることは便利だし、利口だ。

バラバラに分解された人体が隙間をつくらぬように効率的に積まれた電車。

目的地に着くと駅員がバラバラな部品を集める。「これはあなたの上腕。これはあなたの足部。これは小脳」と手渡しして回る。