川逍遥

朝焼けの空、川辺の木々、空低く携えた雲。凛とした空気と川面に浮かび上がる。

水の綾を見た。同時に先ほどまでの世界を姿を消した。

儚さに惹かれる。決して見続けることのできない景色。刹那のうちに消え失せてしまった景色。それを、記憶の中で見続ける。記憶とは不思議だ。決して忘れないようにと思い出せば思い出すほど美化され、気がつくと自分が目にしたことのない美しいものを作り出す。

僕の記憶の中の景色はこの世に存在しない。